日本は現在、さまざまな業種で深刻な人手不足に直面しています。
その中でも特に「少子高齢化」と「若者の仕事に対する価値観の変化」が人手不足になる原因として挙げられています。
このような、環境の変化で起こる人手不足に対応したくても「解決策は?」「人手不足の業界って?」と感じている方もいるのではないでしょうか。
本記事では、人手不足が顕著なトップ5業種ランキングと、人手不足に対する解決方法について解説していきます。
人手不足が引き起こす企業への影響
厚生労働省の「令和元年版労働経済の分析」によると、人手不足が自社の経営に影響を与えていると感じる企業は、全体の72.4%という結果が出ています。
そのうち22.5%は「大きな影響を受けている」と回答しており、残業時間の増加と休暇取得数の減少が挙げられています。
また、企業側では、能力開発機会の減少や離職者の増加が問題視され、労働者側では、従業員の意欲の低下や離職者の増加が指摘されています。
このように、人手不足は企業側も労働側も負担が強いられる状況となり、自然と離職が増えていき、さらなる人材不足が発生しています。
深刻な人手不足を抱える業界トップ5
帝国データバンクの結果により、2024年の現時点で人手不足に陥る業種を5つご紹介していきます。
企業の動向調査によって算出された結果であり、今後もこれらの業種で人材不足が増加する見込みです。
情報サービス
情報サービス業界では、DX推進によるシステム関連需要の増加が続いています。また、従来型のIT人材だけでなく、最先端技術を扱える人材不足が深刻化しています。
経済産業省の報告書では、2030年までに約40〜80万人のIT人材が不足すると予測されており、DX(デジタルフォーメーション)の影響から「IoT」や「AI」などの高度技術や情報セキュリティに精通する人材が求められています。
建設業
高度成長期以降に整備されたインフラにより、2030年頃までに50年以上経過した施設の割合が高くなるため、建設業の将来的な人手不足が予想されています。
また、建設業は休日が取りづらい労働環境と高齢化が進行していることから、2025年には技能労働者の不足が47~93万人に達すると見込まれています。
旅館・ホテル
旅館・ホテル業界は24時間体制で運営されているため、シフト制であっても従業員にかかる負担が大きい業種のひとつです。
また、宿泊業は離職率が高く、人手不足に陥りやすい傾向にあります。
国内旅行客のみならず、インバウンド客も急増する中で旅館・ホテルの需要が急激に高まっているのも、人手不足の原因です。
医療・福祉
近年、人手不足の代表業種として「医療・福祉」が挙げられます。
団塊の世代が75歳を迎える2025年には、2017年と比較して在宅介護が24%、居住系サービスが34%、介護施設で22%ほど人手不足に陥ります。
また、医療・福祉系は、賃金が増加されていないことも人手不足に陥る原因です。
さらに、介護業界では、高齢者の増加に伴い職員の需要が急増しています。
しかし、身体的・精神的負担の大きさに対して待遇が不十分なため、十分な人材が集まっていないのが現状です。
運輸業・郵便業
宅配便の取り扱い数が急増する一方で、ドライバーの減少と高齢化が進み、2030年のドライバーは8.6万人に達すると見込まれています。
また、賃金の安さのほかに、2024年4月から自動車運転業務にも「働き方改革関連法」による時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」も影響していることでしょう。
即効性がある人手不足を解決できる4つの戦略
ここからは、人手不足を解決できる4つの戦略をご紹介していきます。
次世代労働者への注目
人手不足を解消するためには、新しい働き手に目を向ける必要があります。
女性やシニアの働き手を増やすためには、フルタイム勤務だけに固執せず、短時間勤務やテレワークなど、柔軟なワークスタイルを積極的に活用することが大切です。
育児・介護と仕事の両立ができる分業体制やリモートワークの活用、副業や委託による専門性の高い業務の判別も行うことで、人手不足を解消することができます。
テクノロジーを活用する
人手不足の解決策として注目されているのが、RPA(Robotic Process Automation)などのテクノロジーの活用です。
定型的な業務を自動化することで、人員不足を補いながら、作業効率を向上させることができます。
人手不足が深刻化する中で、少ない人員で効率的に成果を出すためには、「ムリ」「ムダ」「ムラ」を省く必要があります。
そのため、工数や経費がかかりすぎる作業や工程は、手順の変更や削減を考えていきましょう。
業務効率化を図ることで、人手不足の解消だけではなく、競争力強化にもつながります。
求める人材を自社で育てる
採用が難しいとされているIT系では、自社での育成が解決策の一つです。
大学や外部の専門機関の講座、大学院への派遣、研修プログラムの策定など、多様な育成手段を検討していきましょう。
人材の潜在的なスキルや能力を最大限引き出すことは、企業にとっても個人にとっても大きなメリットがあります。
たとえば、周期的な教育を提供する「学び直し制度(リカレント教育)」や既存業務のスキル向上、新しい能力獲得に焦点を当てた「リスキリング」が注目されています。
このような配置転換を見据えたスキル獲得を支援し、新たな成長領域で活躍できる人材を育てることで、人手不足解決と企業の競争力を高めていきましょう。
アウトソーシング・B P Oを活用する
アウトソーシングとは、社内業務の一部を外部企業に委託し、自社で不足している人材やサービスを外部に委託することで、生産性向上や競争力強化を図る手法です。
企業によって幅広い業務が対象となり、事務、受付、コールセンター、営業などが代表的です。
また、BPOで企業の事務的業務を一括して委託することも、人材不足の解決におすすめの方法です。
細かな事務的作業を専門スタッフに委託することで、コアな業務に集中できる環境作りを行うことができます。
人手不足を乗り越えた3つの企業
ここからは、実際に人手不足問題を抱えた企業が立ち直しに成功した事例を3つご紹介していきます。
コンパスグループ株式会社
『西洋フード・コンパスグループ株式会社』では、社食や医療施設、老人ホームへの食事提供などを行っており、現場の人手不足が問題視されていました。
そこで『コンパスグループ株式会社』は、RPA(Robotic Process Automation)を導入し、作業の自動化を計りました。
今まで、各店舗で行われていた請求書やメニュー表の作成などの事務作業を本社に集約し、RPAで自動化に成功。
その結果、店舗の負担が大幅に軽減したことで、フルタイム10人分の業務時間を削減することができました。
また、残業削減にもつながったことで、従業員の仕事に対する気持ちの変化も見られた結果となりました。
興南(こうなん)設計株式会社
『興南設計株式会社』は海外展開を検討していた時期に、カンボジアからの留学生のホームステイを手伝ったことをきっかけに、外国人留学生の採用を開始。
その後、2011年にタイ、2012年にはインドネシアに進出し、海外事業の拡大に成功しました。
外国人社員への待遇では、日本での3~5年の勤務後に母国で活躍できる場を提供することで、人手不足解消と海外向けの経営戦略を練っています。
外国人雇用は人手不足だけではなく、企業の国際的な経営戦略の役割として注目を浴びています。
株式会社オハラ
石川県金沢市に拠点を置く『株式会社オハラ』は、商品の需要拡大に伴って従業員を増やすために、ハローワークや求人広告を使って募集を開始しました。
しかし、応募数が少ないことから深刻な人手不足に陥りました。
そこで、高齢者雇用に着目し、早朝5時から午前9時半までの短時間勤務制の募集に変更したところ、働く意欲の高い高齢者が集まり、人手不足も解消。
こうした高齢者の労働意欲を活用する取り組みは、人手不足の解消だけではなく、社内全体の雰囲気改善にもつながった成功事例です。
まとめ
人手不足の原因として、少子高齢化が大きな影響を与えており、内閣府の予測によると、2030年には850万人以上の労働力不足が生じると見込まれています。
このような様々な変化で人手不足が問題視されている中、どのように人手不足を解消していくかを考えていくことが、企業競争で生き残るための戦略です。
しかし「根本的な解決策が浮かばない」「どれから手を付けたらいいのか、分からない」という方もいるのではないでしょうか。
そのようなときは当社『ORIGIN(オリジン)』に、お気軽にお問い合わせください。
当社では、書類整理や事務作業のほか、時間がかかる経理処理やデータ入力などバックオフィスに関わる業務を取り扱っています。
BPOによる外部委託を活用していき、人材不足の問題に弊社と共に取り組んでいきましょう。 興味がある企業様は、ぜひ下記のURLからお問い合わせください。